バイトの接客体験-牛丼屋の接客を学ぼう!
「大学生のバイト体験-牛丼屋の面接に行く!:第七話」「即日バイト体験–牛丼屋で体験入店した!:第九話」「バイトの接客体験-牛丼屋の接客を学ぼう!:第十話」を動画で見る
目次(小説)
牛丼屋のバイトのシフトリーダー
叩かれた方向に目も向けると、そこにはツインテールの謎の美少女がキメポーズをとっていた。
「はじめまじて♪」
「マッシュです。よろしくお願いいたします」
謎の美少女の名前はマッシュというらしい。なかなかインパクトのあるキラキラネームだ。
「なーんーでーじゃあああ!!」
謎の美少女は叫びながら、腰元ふきんに立っていたキノコの両頬をを、さけるチーズを真っ二つにするかの勢いでつまんだ。なるほど、おそらく『マッシュ』はこちらのキノコの名前のようだ。
俺と同じ制服を着ているということは、彼女も牛屋のアルバイトなのだろう。見た目は普通の人間のようだ。宇宙人みたいな店長やキノコみたいな従業員しか見ていなかったので、従業員に犬や猫みたいなおかしなのが出てきても驚くまいと腹をくくっていたのでいささか拍子抜けー・・・
「おかしいくらい、カワイイ!」
いや全然!謎の美少女のインパクトすっごい。俺のバイト生活は、もしかしたらバラ色なのかもしれない。謎の美少女は、キノコに「次やったら除菌スプレーかけるからね!」と殺菌宣言をし、こちらに踵を返して自己紹介を再開した。
「改めまして、杉 夢巳(すぎゆめみ)です。こう見えてこの店のオープニングメンバーで、シフトリーダーやってます。わかんないことあったら。何でも聞いてね♪ちなみに呼び名は『スギさん』『ユメちゃん』『店長のヨメ』なんでもいいから気軽に呼んでね」
俺の淡いバイト生活の妄想は、一瞬でかきけされたのだった。
牛丼屋のバイトの接客を学ぶ
「体験入店だっけ?じゃあ、取り合えずバイトの基本「接客」から教えていこうか。」
厨房から客席が見渡せる位置に移動して、接客の指導を受けることになった。
よくバイトは『マニュアルにそって』なんて耳にしていたので、マニュアル本みたいなものを見てから仕事に付くものと思っていたが、どうやら現場でその都度教えていくのが殆どらしい。一応、事務所にマニュアルはあるようだが、それはあくまで確認用に使っているらしい。
「接客の基本は『笑顔』。笑顔はお客様に安心を与えるからね。安心して食事をしてもらうために、入店中は店長みたいに常に笑顔でいることを意識してね。」
確かに。店長は常に笑顔だ。と、いうかあの顔、笑顔以外に出来るのだろうか?
「あと、食券。牛屋は他の牛丼屋と違って注文は食券だから、受け取る時に商品を読み上げて確認してね。たまに買い間違えて、商品を提供した時に『コレジャナイ!』ってトラブルになることがあるから注意してね」
なるほど。確かにファミレスなどは、直接聞いて商品名を確認しているから間違いはないが、食券だとそういうことがあるのか。以前、間違えて切符を買い間違えて、移動距離以上の金額を払ってショックを受けたのを思い出した。アルバイトを決意する前、『レジ打ちしなくてラッキー』とか思っていたが、そういった問題もあるわけなのか。
「松野君!笑顔なくなってるよ!入店中は口角あげてスマイルスマイル♪」
声のする方へ顔を向けると、美少女が自分の頬に指を当てていると思いきや、キノコの両端を引っ張って一種のホラー映像を見せつけられた。そんな笑顔、俺は認めない。
接客はオーダーや配膳だけでない?バイトお客様の対応
「さて、接客の話に戻るね。基本接客は食券受け取って、商品をわたす流れになるんだけど、たまに食券を買う段階で戸惑ってしまうお客様もいるの。」
そう言われてみると、今まさに券売機の前で立ち尽くしている年配のお客様がいた。どうやら、タッチパネルの使い方がわからないらしい。
牛屋の券売機はタッチパネル式で、商品を選択後に支払い方法を選ぶ、言わばインターネットのカート式のUI(ユーザーインターフェイス)だ。紙幣・硬貨投入口は支払い方法の選択画面に移動するまで、閉じたままの状態になっている。昔の自動販売機は、硬貨または紙幣を入れないと、起動しないものが多かったため、直感的に操作方法がわからないようだ。
目の前には商品の提供を待っているお客様がいる。接客者は店長一人。ここで店長が券売機の使い方を説明にいったら、店内が回らなくなってしまう。確かに、この場合どうしたらいいんだ?いくつかの選択肢が思い浮かぶ。
1.券売機の使い方は、客席の全ての商品を提供するまで待ってもらう。
2.券売機の説明を先にし、商品提供を待ってもらう。
3.券売機の説明を自分がし、調理場の人に一時的に接客をしてもらう(または逆)
「お客様!」
店長がお客様に声をかけたと同時に視界から消えた。いや、違う。上だ。天井スレスレまでジャンプした店長は、一瞬の間に券売機の前まで跳躍していた。推定高さ3メートル、幅10メートルといったところだろうか。券売機の使い方の説明がおわると、また同じ方法で厨房付近まで戻ってきた。時間にして、10秒も満たなかったのではないだろうか。
「あんなふうに、飛んで券売機の説明に向かってあげてね」
4.一足飛びで券売機まで駆け寄り、説明してからー
「ちょ・・・え?えええー・・・」
俺の後ろで『自分も出来る』と言わんばかりにキノコが飛び回っている。今日からスクワットの回数は、倍にしないといけないようだ。
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