食器洗浄機の使い方 食洗機のコツと注意点
「バイトの洗い場体験 牛丼屋の裏側を学ぼう:第十一話」「食器洗浄機の使い方 食洗機のコツと注意点:第十二話」を動画で見る
目次(小説)
食器洗浄機の基本的な使い方-必ず使用前に手洗いを!
「まずは持ち方を逆に。食器を右手に持って、左手にスポンジを持ってください」
最初に持ち方を注意された。自分は右利きなので、無意識によく動かすほうの右手でスポンジを持って洗っていた。
「まず、今までの洗い方だと、食器洗浄機が右側にあるので、必ず左手に持っていた食器を右手に持ち替えるという動作が生まれます。順番をあげるとするとー」
今までの食器洗浄機に入れる前の食器の洗い方
- 1.食器を洗う
- 2.食器を持ち替える
- 3.トレーに食器を置く
言われたの言葉を頭の中で整理して、店長が洗い物をしている姿をイメージした。
「これを最初から右手で持つことで、『食器を持ち替える』という動作を省くことが出来ます。つまりー」
食器洗浄機に入れる前の洗い物をスピードをアップさせる持ち替えた場合の洗い方
- 1.食器を洗う
- 2.トレーに食器を置く
- 3.ポージングする
頭の中の店長が、三コマ目で半裸でポージングした。思わず噴き出した俺を見て、ニコリ(いつも以上に)とした店長が説明を続けた。
「このように持ち方を替えることで、1テンポ省略することができます。一秒にも満たない時間ですが、これを積み重ねることで少しづつ時間が短縮されていくのです。それでは、この方法でもう少し洗い場を続けてみませんか?」
どうやら交代を期待していたのは、見透かされていたようだ。自分に逃げるという選択肢を与えなかったことを、心から感謝した。
牛丼屋の大型食器洗浄機の使い方
松野 VS 洗い場ラウンド2
山盛りの洗い物を見ると気が滅入りそうになるので、一先ず視界からシャットアウトする。
まずは、店長のアドバイス通りに食器洗浄機のある右側の手で食器を持ち、左手でスポンジを持つ。今度は先輩アルバイトの杉さんに言われた通り、縁・底・高台をしっかり洗い、そのままトレーに乗せる。普段使っていない左手はやはり違和感があり、明らかにスピードダウンしているのがわかる。
「本当にこれで大丈夫なのか?」
途中、何度か掴む手を間違えそうになりつつも、5個・10個と洗い続ける打ちに次第に体が慣れてきて気が付けばトレーいっぱいに洗い終わった食器が並んでいた。
そのままトレーをスライドさせ、食器洗浄機の蓋を閉める。閉めると同時に洗浄が自動で開始され、約5分間高洗浄+熱湯消毒+熱風による乾燥が行われる。間髪空けず、その間に空のトレーを用意し、食器の手洗いを再開する。
食器洗浄機が止まったら、一度洗い物をやめ、しっかり手洗いをしたあと、中からトレーを取り出し清潔な食器を調理場のほうへ持っていく。この段階でも少しコツがあり、食器をトレーに乗せる際になるべく同じサイズのものを一列に並べることで、一気に重ねて取り出すことができる。一つ一つ取り出すより断然早い。
因みに熱湯消毒された食器は恐ろしく熱く、火傷するんじゃないかって時もある。だが杉さん曰く、1ヶ月もすれば指の皮が厚くなって、全く熱さを感じなくなるんだとか。マジでか?
洗う→入れる→運ぶ→また洗う・・・といったローテーションが体に馴染んでいたころには、あれほど減らなかった初期の山は、いつの間にか殆どなくなっていた。
食器洗浄機の使い方の注意点
油断というものは、得てして慣れてきた時に起きる。
「洗い物お願いしま~す」
数分前ならば、洗い物が増える度にビクビクしていたので、聞き逃すことはなかった。ましてや、見慣れない動くキノコが運んできたのなら、その挙動自体に不信感を感じていたはずだ。
しかし、両方に慣れてしまい、無心で食器洗浄機と同期してしまった自分には、その存在に気づかず丼ごとキノコをシンクの中へと引きずり込んでしまった。
「あぷぷぷぷ!だ・誰か助けっ!!」
誰にも気づかれず、必死にもがき続ける哀れなキノコ。ようやく、支柱に手をかけシンクから身を乗り出すのも、その支柱が運の尽きだった。
ガシャン!!!
「え?」
キノコの視界を塞ぐガラス越しの扉。ゴゴゴという振動音の後、高温・高圧力の水流がキノコを襲った。
「ギイイヤアアアアアアア」
そう。彼(?)が掴んだのは支柱ではなく、食器をおくトレー。俺に気づかれず、そのまま食器洗浄機の中へ・・・・
この後、店長が食器洗浄機の内部も分解して、洗浄するハメになってしまうも、なんとかギリギリ店にいるお客さんには商品を提供できたようでした・・・
みなさんも、牛丼屋のアルバイトで食器洗浄機を閉める際は、中に食器以外のものが入っていないか必ず確認するようにしましょう。
キノコの安否につきましては、次回ご報告いたします。
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