店長は兼任することも 牛丼屋の多店舗運営
「バイトから正社員へ 牛丼屋の店長を目指す:第二十九話」「店長は兼任することも 牛丼屋の多店舗運営:第三十話」を動画で見る
目次(小説)
時間帯責任者(シフトリーダー)の仕事
「時間帯責任者(シフトリーダー)の松野謙信です。わからない事があったら何でも聞いてください」
そう。先月俺は接客・調理・清掃業務を全てマスターし、時間帯責任者(シフトリーダー)に就任したのである。その名の通り、店長が不在の場合は俺がこの店舗の責任者となり、店を回していかなければならない。社外秘なので詳しくは言えないが、食材管理や在庫管理、金銭管理なども時間帯責任者は行わなくてはならない。もちろん、今回のような新人アルバイトの教育もである。
「どどど・どうしてキノコが働いているでありますか?」
おっと、今までスルーしていた事をサラっと聞いてくる。ゴメン!それは俺も知りたい。
「キノコといい、店長さんといい、牛屋は個性的な人が多くてワクワクしますね!」
店長とはタケダ店長のことだろうか。きっと異動前に面接にきたのだろう。違う。牛屋はそういうキャラクターを楽しみにしてくるアミューズメントパークじゃない。
「今日新しい店長が来るはずなんですよ。きっと、その人は期待してるような個性的な人とは違うと思いますよ?そろそろ来るはずなのですがー・・・」
「おはようございます。遅くなりまして、ごめんなさいアルヨ」
俺の背後から、フォローむなしく個性的な挨拶が聞こえてきた。
牛丼屋の店長は多店舗兼任することがある
「店長のイケダです。以後よろしゅう」
「タケダさんですよね?」
キャラ崩壊どころか全てが破綻している、不気味なメイクをしたタケダ店長がそこにいた。
「私はイケダ、タケダの従弟でござるー・・・」
どこまでもこのキャラを通すつもりである。後ろでは怪異の登場に目を輝かせている茂部さんがいた。違う!だから牛屋はそういう店じゃないんだってば!
彼はタップダンス、ムーンウォーク、今流行のスリックバック(空中ウォーク)など、一通りキャラ変のアピールをしたあと、天井を見上げながら静止した。
「実は異動先が数日前に発表されたのですが、駅の向こう側にできる新店に配属だったようでー・・・」
駅の向こう側とは、ウシハマ駅の北口のことで、前にも説明した通りウシハマ店のある南口とは逆の降り口になる。確かに雑居ビルの一角で工事をしているのに気づいていたが、まさか牛屋の新店だったとはー・・・
「どうやら新店の工事が遅れているようで、しばらくまたウシハマ店と兼任になるようですのでー・・・これからもよろしくお願いします」
歯切れの悪い挨拶だったが、気まずくてもなんでも言い。とにかくまたタケダ店長と一緒に働けることが何よりうれしかった。
「よろしくお願いします!取り合えずその化粧を落としてください!」
盛大なツッコミを入れたあと、俺たちはいつも通り、お客様に美味しい牛丼を提供すべく準備を始めた。
異動先の店舗への挨拶は必要か?
AM11:00
昼ピークを迎える少し前。
ウシハマ店の店先に二人の女性が店内を凝視していた。一人は睨みつけるように仁王立ちで、一人は不安そうにおどおどした挙動で。
「ここが、牛屋ウシハマ店ー・・・」
一人は制服のようなのでアルバイト希望のようだが、もう一人はスーツを着ているので違うような気もする。後に聞くのだが、店長や社員に人はは異動先の店舗に配属される際、前日に挨拶にいくのが礼儀なんだとか。
つまり、もう一人の女性は牛屋の社員ということなのだがー・・・
物語の続きは『社員編』にて。
著者情報
ペンネーム:たけだおうし
職業:Webデザイナー・ディレクター
職歴:牛丼屋の正社員→広告会社→Webコンサル(現在)
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